東京で気ままに生きる

誰よりも東京が好き。そんな筆者が東京での暮らし(食、住、仕事、育児、お金、趣味)について徒然と語ります。

【書評・感想】このゴミは収集できません ゴミ清掃員が見たあり得ない光景

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ゴミ清掃員として働くお笑い芸人である「マシンガンズ」の滝沢 秀一さんが書いた著書「このゴミは収集できません ゴミ清掃員が見たあり得ない光景」を読みました。

これが思った以上にテンポよく読めて、しかも色々と興味深い1冊だったので、皆さんに紹介したいと思います!

 

 

このゴミは収集できません ゴミ清掃員が見たあり得ない光景

このゴミは収集できません ゴミ清掃員が見たあり得ない光景

 

 

本の内容と読んだきっかけ

 

内容は、ゴミ清掃員としての経験を元にした体験型エッセイです。

本業お笑い芸人の著者が家族の生活を支えるため、36歳でゴミ清掃員の仕事を始め、過去6年間のごみ収集中の体験や気づきをユーモアたっぷりに面白おかしく、時には真面目にまとめてくれています。

 

実はこの本を読むまで、お恥ずかしながら滝沢さんのことは全く知りませんでした。

 

本を読んだきっかけは、こっそりと尊敬している先輩がこの本が面白かったとSNSでアップしていて興味を持ったからでした。実際に読んで見ると非常に面白く、身近ではあるけれどもよく知らないゴミの清掃員の方の世界が垣間見えて、非常に興味深い本でした!

 

「このゴミは収集できません」の感想

 

ゴミ清掃にはドラマがある。

 

ゴミ清掃の世界はドラマが溢れている。」これが最初にこの本を読んだ感想です。

 

滝沢さんの本には、ゴミ清掃の世界の面白ドラマが溢れています。

 

これがなぜかと考えてみると、①ゴミの出し方がヘンテコな人達、②多様なバックグラウンドを背景にしたゴミ収集の人達、③日々のゴミ収集のコンディションに影響する日本の春夏秋冬の移り変わり、この①から③までが掛け合わさって、この本に収められているような色々な面白いエピソードが生まれているように思います。

 

とはいえ何よりも、著書の滝沢さんの普段からネタを見つける嗅覚というか、そういうものがベースにあるからこそ、これだけ面白エピソードの気づきが生まれているのでしょう。例えば、ゴミの中に見つけたプリクラのエピソードなど非常にシュールです。

 

回転板に挟まれた袋が弾けて、パーンという音と共に飛び出してきたのは、何枚ものプリクラ。道路に散らばったプリクラを拾い集めていると、女の子二人が写っていて「ずっと友達」みたいなことを書いてあるのが目に入って笑ってしまった。

 

もっとも、このケースでは、プリクラは捨てても「ずっと友達」である可能性はまだ残っているので、プリクラを捨てても友情までは捨てていないのかもしれません。

 

捨てられたゴミは社会を写し出す鏡である。

 

ー治安の悪い地域の集積所は不思議と汚い。次引越しをする時、僕は集積所を見るー

 

著書を読んで非常に興味深かった点が、ゴミはそのゴミを出した人の生活水準をダイレクトに反映するものだという点。

 

滝沢さんはゴミ清掃員としての経験を通して、ゴミ集積所を通してそのコミュニティの人達がルールを守る人かどうか、また、お金持ちの地域とそうでない地域で、大量に出るゴミに違いがあることなどを体験的に解説してくれています。

 

何かしら購入して不要になったものがゴミとして出されるということを思うと、そもそもの入口部分の家庭の購買力の差が出口部分のゴミとしても表れると考えると当たり前の話のようにも思えます。

 

けれども、ゴミの出し方や出るゴミの中身を通じて、目に見える立体的な形での格差が日々(ゴミ清掃員の方の目の前に)現れてくるというのは、興味深くもあり、また、あまりのリアルさに少しだけ読んでいてショックなことでもありました。

 

ただ、ゴミを通して社会の格差が見えるのであれば、格差がなくなった世界とは、各家庭から出されるゴミの内容に差がなくなった世界と捉えることも出来るような気がして、そういうものも将来的に経済的な格差を測る指標の補足として使って見たら面白いかも、との感想も持ちました。

 

1人1人の行動(ゴミ捨て)が社会(ゴミ収集やゴミ処理)に与える影響は大きい。

 

ゴミって考えて見れば、私たちの生活に非常に身近なものです。

 

スーパーやコンビニで何か買えば、包装や容器など商品の一部は必ずゴミになるし、ゴミ捨ても毎日の私たちの生活の一部。

 

けれども、私もそうですが、多くの普通の人は、何かモノを買う段階ではゴミのことまで思いを馳せないし、ゴミを出した後にもそのゴミがどういう運命をたどって処理されているのかについて、あまりに無関心なような気がします。

 

でも、この本を読むと、私たちのゴミの出し方一つで、ゴミが資源として扱われるかゴミとして扱われるかが異なってきたり、清掃員に人達の仕事のやり易さに影響したりするということがイメージが湧く形で理解できました。

 

また、その上で、私たちが今日から実際に何をしたら良いのかということも、11章「私、ゴミ清掃員が日本の未来に物申し上げます」に丁寧に解説がしてあります。 

 

僕たちには出来ることは沢山あります。

皆さんにやっていただいたら我々、清掃員が喜び、かつ未来の環境を少しでも切れなものとして子ども達に渡せる。なんだかあいつら汚くして俺らに渡しやがってと言われたら恥ずかしいでしょ?出来る方法は、この本で何度も行っていますが、改めて言います。 

 

気になった方はは、ぜひ本書を手にとって確認してみてください。

 

この部分はお笑い芸人としてのおふざけの部分を脇にやって、非常に真面目に熱く書いてくれているのが分かるので、滝沢さんへの共感と共に自分の生活を振り返る良いキッカケとなりました。

 

単に面白いエッセイ好きな方にはも、あまり知ることのない清掃員の方の世界にご関心を持たれた方にも、すごくオススメの1冊です!

 

このゴミは収集できません ゴミ清掃員が見たあり得ない光景

このゴミは収集できません ゴミ清掃員が見たあり得ない光景

 

 

ゴミ清掃員の体験を元にしたエッセイ『このゴミは収集できません』を読んだよ、満足度が高くて面白い1冊だったよ、というお話でした。だからやっぱり東京が好き。今日はこの辺で。